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生涯一書痴! 病高じて古本屋の店主になってしまった、ぺんぺんの読書日記です。書評ってほど偉そうなものではないですが(汗)読んで楽しかった本、いろいろ考えた本を紹介したいです
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*ネタバレ注意*

目覚めるとそこは軍場だった。
歴史小説家の御厨は関ヶ原を取材の途中、
何ゆえか400年前の大垣城へタイムスリップしてしまう。
時は1600年8月。
天下分け目の関ヶ原合戦を間近に控え、
城内には豊臣方の軍勢が集結、すでに前哨戦が始まっていた。
予言(御厨にとっては歴史的事実)を次々と的中させ
西軍副大将・宇喜多秀家の軍師となった御厨は、
歴史を覆すべく必勝の作戦を立案する。
だが、察知した徳川家康も反撃の秘策を・・・
御厨は西軍に勝利をもたらすことができるのか???

・・・できませんっ!(笑)

なぜなら、このストーリーは
この「逆撃 関ヶ原合戦」と
「逆撃 大坂冬の陣」「逆撃 大坂夏の陣」でワンセットだから(笑)
関ヶ原で、豊臣方を勝利に導くことのできなかった御厨が
再び時を跳んで、大坂での戦に挑む物語の導入部と言えるのが
この「関ヶ原」なのだ。

歴史小説であり
歴史ifモノ(仮想戦記)であり
タイムトラベル小説
戦国軍略シミュレーションというユニークな作品。

この御厨シリーズは
日本編としては
「川中島合戦」「 三方ヶ原合戦」「長篠合戦」があり
その後、なんと
第二次世界大戦やナポレオン時代にまでぶっとぶ壮大なシリーズとなる。

ええと
主人公・御厨太郎が過去にタイムスリップする契機がちょっと笑えます。
彼と先祖の代から浅からぬ因縁を持つゆえか
惹かれあう女性・早苗と
歴史の動く現場近くで、
コトにおよぶ・・・(笑)

えーとえーと、ナニをしまして恍惚感に至ると
時を跳んでしまうという・・・(笑)

柘植さん、つかみ、これでいいんすかっ?ほんとに!

なんですけど・・・(笑)

過去へ跳んだ後の展開は素晴らしいです。
柘植さんは
歴史小説の人というより
軍事・戦略・ミリタリー関係の著作で有名な方で
軍略をメインに語られる合戦のありさまは
リアリティ抜群。
それぞれの人物のキャラクター造形も
史実に忠実でありながら
生き生きとした血肉の通うエピソード満載で
特に、宇喜多秀家、宮本武蔵、明石掃部がすごくいい。

同じ着想のものは多数あって
小説、コミック、映画、ドラマで有名な
戦国自衛隊」なんかも、このジャンルなんだけど・・・
この逆撃シリーズでは
たったひとりの人間が
未来のブツは持ち込めず、その身ひとつで過去へ跳び
頼れるのは、歴史や軍略の知識のみ
その時代にあるのもので

なんとか、起死回生の一手を模索する

というのが結構、ぺんのツボです。

戦においても
人間はチェスの駒じゃない。

疲れもするし、お腹も減るね?
兵糧の問題までつっこんで詳細に描かれてるのが
高感度アップ。
あったかい一杯の味噌汁で士気が上がったりするのが生身の人間だもの。

また、
爆弾やら、ガスやら、生物兵器やら
その時代になかったものを
無理無理に開発しようなんて
御厨はしないけど
当時は別々だった騎馬隊と鉄砲隊を一緒にして
旗本騎馬隊」(足軽に至るまで乗馬し、鉄砲を装備する)なんていう
充分可能でありながら、時代の常識からすると斬新な発想を駆使したりするのが
すっごく面白い。

そんでもって、さらに興味深いのは
御厨たちが戦わねばならない最大の敵が
豊臣方にとって最大の宿敵である徳川家康ではなくて
味方であるはずの
石田光成であり、大野治長だってこと。
一旦、豊臣秀吉が天下統一をなし
武勇よりも、現代で言う官僚による支配に傾いてしまった一時期
いざ、戦となった段に
現場での指揮に優れた武将より
官吏である彼らの発言権が優先される皮肉。
必勝の策を持ちながら
彼らの保身、びびり腰のために、攻撃が後手後手に回ったり
結果として不利な和議に導かれる不運と戦わざるをえない
傑出した、ばりばり武闘派の面々の悲哀。

文字通り、天下分け目の戦いである関ヶ原で
数々の思惑が交錯するさまを
見事に描いた作品。

合間合間に
各武将の紹介がはさまれ
ぺんのように、それほど歴史に造詣が深いとはいえない人間でも
わかりやすく楽しく読めた。
初心者から、マニアな上級者まで
それぞれの距離感で楽しめるシリーズだと思うよ♪

一応、シリーズ全読破を目指します(笑)

19926342.jpg

「逆撃 関ヶ原合戦(上下)」柘植久慶(中公文庫)
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ぺんは、日本史はまだしも
世界史はあまり詳しくないため
はまれる歴史小説って、そんなに多くはないけど
佐藤賢一は好き
本を読む楽しみってやっぱり
物語の中で、場所と時空を超えられることだよね?
史実に忠実でありながら
魅力的に味付けされたキャラクター造形
長編でも読むのに苦痛を感じさせない文体で
予備知識がなくても楽しめる彼の作品は、すごくいいと思う

直木賞受賞作の『王妃の離婚』
十三世紀フランス南部を舞台に異端カタリ派の興亡を描いた『オクシタニア』
古代ローマの剣闘士奴隷の波瀾万丈の人生を捉えた『剣闘士スパルタクス』
最近では「デュマ三部作」など
ヨーロッパを舞台にすることが多い作家さんなんだが
「アメリカ」に初めて挑んだ作品がこれ

禁酒法時代のアメリカを舞台に
第一部は
「暗黒街の顔役」
アル・パチーノ主演の映画「スカーフェイス」など
数多くのギャング映画でモデルとなった
シカゴ暗黒街の帝王であり、時代のシンボルでもあった
アル・カポネ(1899-1947)の視点で
第二部はテレビドラマやケビン・コスナー主演映画『アンタッチャブル』
の主人公として「正義」の象徴となったエリオット・ネスの視点で
それぞれの人生をリアルに鮮やかに描いた物語
悪と善。対照的に見える2人が、ともに求めたものは何だったのか? 

今まで表面的に
一方が悪の権化、もう一方が正義の象徴という描かれ方をしてきた
カポネとネスのコインの裏表のような共通点を軸に
これまでの彼らのイメージを覆すような
映画では描くことの出来ない踏み込んだ内面描写が特徴かな

フィクションの世界では30代、40代のイメージで
正義は正義、悪は悪と
きれいに分かれたキャラクターができ上がってしまっている
カポネとネスだけど
実際に活躍したのは20代と年齢的に若く
人間として成熟しきってはいなかったのでは?
という部分に着目し
ともに移民であり、いろいろな葛藤を抱えた人間としての彼らの
等身大の人間像を描こうとした試みがユニーク

それを象徴するエピソード
ひとつは・・・
ビジネスマンとしてのカポネ
中退前の学校での成績は良く
ジョニー・トリオに取り立てられた頃は
ギャング的な押し出しより
任された店の経理面で活躍していたり
一時期はアイルランド系の嫁と
普通のサラリーマンとして生活し
裏社会から距離を置こうとしていたあたりや
若気の至りの喧嘩で
「スカーフェイス」と呼ばれる傷のある顔になってしまったことを
「このままでは真っ当な社会人としてやっていけないかも」(?)みたいに
結構、気に病んでたりするのがおもしろい

また、ネスは
決して完全無欠のヒーローではなく
若さゆえの正義感で
FBIで活躍する「かっこいい俺」を目指し
なんとか、もぐりこんだものの
禁酒法時代の仇花みたいな部署で・・・
結局、正攻法ではなく
「なんでもいいからカポネをあげろ」
みたいな上からの圧力に屈して
脱税容疑でしかカポネを起訴できなかったことに、じれじれし
その後は結構こすっからく「アンタッチャブル」としての名声を利用して
世渡りしようとするも失敗して
アル中として不遇の人生を送る、わりかし情けないキャラなのも新鮮(笑)

アメリカという国を読み解くための書物でもあるところも興味深い
激しく好悪の別れる国であり、様々な二面性を持つ国アメリカ

カポネたちギャングが出てくる素地であった
伝統やしがらみ、封建的な因習から逃れている若い国でありながら
禁酒法なんていう突発的にスクエアなものを
法律にして大真面目に適用し
純粋とも危険とも言えるやり方で「正義」に固執するアメリカの怖さ
(脱税で懲役11年ってありなのか?笑)
はテロ問題がらみで現代でも、問われている部分だし
怪物みたいなアメリカの
「メディアによって喧伝されるカリスマ性の虚実」
テーマにされているところが、おもしろいと思った

capone.jpg

「カポネ」佐藤賢一(角川書店)

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初めての歴史もの
いってみよう♪

「信長の野望は天下一の棟梁に託された。
前代未聞の建築物、安土城を作った男達の葛藤と築城プロセスを描いた
戦国版プロジェクトX

織田信長に仕えた熱田神宮の宮大工岡部又右衛門とその息子以俊が、
信長の無理難題、甲賀の乱破の妨害、相次ぐ天災などを乗り越え、
信長の威勢の象徴とも言うべき
壮大な安土城を築き上げていく物語
七層五重の櫓に南蛮風の意匠を凝らした安土城はいかにして完成したのか?

それが第11回松本清張賞受賞作の「火天の城」だあ

まずは、この本のテーマにどきどき
数ある歴史モノの中でも
番匠(大工さん)の棟梁に視点を置いて
戦国時代の気骨溢れる人間模様を描こうとした試みがユニーク
番匠だけでなく
木や石を扱う職人を含め
今まで、あまり陽の当たることのなかった技術集団に
スポットを当てることによって
よりリアルに時代の空気が感じられる作品になっている

戦国時代の職人の本懐
男気と愚直なまでに一途な生き様

素敵だああああ

桶狭間の決戦から本能寺の変までを、
武将の目線からではなく描いて
かえって「織田信長」の人物像がくっきりと浮かび上がる不思議
現存しない安土城、そしてそこに座す信長の姿が
目に見えるような気がした
不世出の武将の短い栄華
築城後3年で焼失した安土城は
人間の夢と努力の尊さとはかなさの象徴であったのか・・・

かなり、綿密な取材・下調べのもとに書かれたと思われるのだが
知識自慢に溺れることなく
説明くさくない文章と
さりげなく登場人物によって語られる事情が
文字を追う目を手を加速させる

ぺんは、あまり歴史が得意ではないの
記憶力はいいはずなんだけど・・・(汗)
この事件には誰が関わって・・・という人名や年代の詳細なんかを
覚えきれないあたしにとっては
幅広いレンジの群像劇より
こういう、主人公と時間をしぼった作品の方が
読みやすいし
現代、過去を問わず「職人気質」というものに
ものすごい共感をおぼえるタイプなので
とても楽しく読めた

リニューアルした松本清張賞で、
当代の一流作家であり強者揃いの選考委員
(浅田次郎、伊集院静、大沢在昌、宮部みゆき、夢枕獏)
がこぞって絶賛したのも納得の受賞作

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「火天の城」山本兼一(文藝春秋)

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プロフィール

ぺんぺん

Author:ぺんぺん
古本ぺんぎん堂店主
☆成分分析:
ぺんぺんの90%は本でできています
残りは音楽と映画と酒と美味しいものでできているようです

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ぺんぺんファンのショッカーのみんな
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