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生涯一書痴! 病高じて古本屋の店主になってしまった、ぺんぺんの読書日記です。書評ってほど偉そうなものではないですが(汗)読んで楽しかった本、いろいろ考えた本を紹介したいです
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梶尾真治っていえば
やっぱり、タイムトラベルだよねっ!!

大ヒット映画『黄泉がえり』の原作者としての方が
今では有名なのかもしれないけど
デビュー以来、時間旅行テーマの短篇を得意としてきたSF作家

クロノス・ジョウンターの伝説
(ストーリーを変えて「この胸いっぱいの愛を」のタイトルで映画化
作者自身がノヴェライズした同名小説もある)
未来(あした)のおもいで」など
どれも、時を超えたロマンスを描いた優しい物語だ

タイムトラベル・ロマンス-時空をかける恋・物語への招待-
という書評エッセイで
海外SF作品、自作を含め
時間旅行への熱い思いを語っている著者が
このテーマで初めて本格的に長編に挑んだのが
この「つばき、時跳び」

主人公の新進作家・井納惇(いのうじゅん)は、
熊本市郊外・花岡山の中腹に位置し、
肥後椿の咲き乱れる「百椿庵(ひゃくちんあん)」に
たったひとりで暮らす。
祖父母の死後に譲り受けた家だが、そこにはかねてより幽霊が出る、
という言い伝えが。
ついに彼自身も屋敷の中で着物姿のうら若き美女を目撃。
てっきり噂の幽霊かと思うが、
「つばき」と名乗る娘は、明治維新直前、元治の時代から
百五十年の時を超えて現代へさまよいこんだ時間旅行者だった
どうやら、天井裏の梁に差し込まれた謎の金属棒で
この家自体がタイムマシンの役割を果たすらしい。
150年の「時の壁」を超える恋の行方は?
謎のタイムマシン発明者にして
未来からの旅行者「りょじんさん」とは?

展開は
いつもの梶尾節(笑)だけど・・・
時代小説、郷土小説の色合いもあり楽しい
何度も物語の舞台となってきた作者の住む熊本
横井小楠、長岡監物などゆかりの人物を登場させ、
名物「いきなり団子」の由来に触れたり
松本喜三郎の生人形
上手にエピソードに盛り込んでいる
人間、そして風景・・・
同じ場所での現在と過去の対比の描写がいい

タイムマシンの仕組みなどには
あまり細かくはふれられず
ディープなSFファンはもちょっとリアリティがほしいかも?
だけど
こむずかしい理論をふりかざしたりしない
親しみやすいタイムトラベルSFは
あまり、普段SFを読まない人にも楽しめる

あたしはタイムトラベルもの、大好き。
ハインラインの「夏への扉」
筒井康隆「時をかける少女」
ジャック・フィニイ「ふりだしに戻る」
広瀬正の「マイナス・ゼロ」

クリストファー・リーブ主演でロマンティクな映画にもなった
リチャード・マシスンの「ある日どこかで
SFではないけど北村薫の「時をめぐる三部作」もいいよね

時間旅行(時空漂流?)小説の中には
歴史には介入できないタイプのものもあるけど
あたしは、現在から過去(未来)へ
過去(未来)から現在へと
問題や謎を解決するためにさまよううちに
ある行動の結果が、人やものに影響して
原因と結果がわけわかんなくなった時の輪の中で
とにかく
愛する人に会いたいとか
あの出来事をなんとかしたい、
という強い気持ちが
しあわせな結末を呼び寄せるようなやつが好きだあ(笑)

そういう意味では
梶尾真治のタイムトラベルロマンスはツボかも

tubaki.jpg

「つばき、時跳び」梶尾真治(平凡社)
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☆「デルフィニア戦記」未読の方は一部ネタバレ注意☆

本読んで、びっくりしたことってある?
ミステリーで、あまりにも意外な人物が犯人だったとか
そういうのはあっても
ここまで「驚く」っていう体験は
久しぶり・・・っつーか初めてかも(笑)

茅田砂胡「スカーレット・ウィザード(全5巻)」から入った

「SFふうハーレクイン・ヴァイオレンス・ロマンス」
を目指したと作者言うところの作品は
クーア財閥の女王・ジャスミンと
宇宙きってのお尋ね者
『海賊達の王(キング・オブ・パイレーツ)』ことケリーの織り成す
とんでもなくスケールの大きいスペースオペラで
途中まではどう考えても恋愛小説にはならない無茶苦茶な主人公2人を
うぐぐ・・・好きなら好きと言わんかいっ!!
と、つっこみつつ(笑)見守るうちに
胸が切なくなるような結末が待っている
好きな男に頼って守られることに満足せずに、
大切なものを守るために自ら一番危険な場所へ向かって
ためらわず一人で走り出しちゃうような・・・最強無比のヒロイン像

これ以上、強いヒロインは多分いない
と思ってたら・・・
いましたね(笑)
なんと、同じ作者の作品に・・・

それが「デルフィニア戦記」

放浪の戦士と異世界の少女の出逢い・・・
すべてはそこから始まった
盟約という固い絆で結ばれた2人は、
いくたの危機を乗り越え、あまたの戦に勝ち抜いて、
戦士は大国の王に、少女は王と国の守護神となった
獅子王と妃将軍が紡ぐデルフィニアの伝説
剣と魔法の荘厳なファンタジーの物語世界
王妃グリンディエタ(リィ)の強さ
これはちょっと筆舌に尽くしがたいほどで(笑)

「男を守れる女」という設定が
ものすごく自分のツボであることを自覚した、ぺんであった

実は彼女は最初に登場したときは異世界から現れた少年で
自覚なく変化した姿は女性でも精神は完全に男
しかも、どうやら普通の人間でもないようで
ヒロインというには少し反則なキャラではあるけどね(笑)

さて、やっと本題(笑)
「天使たちの華劇」
「暁の天使たち」というシリーズ(全6巻)の
外伝の2巻にあたる作品
ぶっとびは・・・この「暁の天使たち」のことなんだよう!

「デルフィニア戦記」は純粋に
ファンタジーとして素晴らしい作品だった
RPGになりそうな中世めいた世界
王の、貴族たちの、戦士たちのそして庶民たちの
生活の細部にいたるまで、しっかり描写されていた
謎めいたリィの正体、言動についても
それはファンタジーの世界で
戦乙女や、戦いの女神などがありなのと同じで
あくまでも、神話的な存在としての不可思議さであると感じたし
解き明かされないからこそ残る余韻さえ心地よかった

なんで、これがSFに化けるんだああああ???

どことも知れぬ時空のはざま(デルフィニアがあった世界)から
彼らにとっての現実世界に戻ったリィと相棒ルゥ
(とリィに着いて来た?シェラたちファロット族の面々)
そこはショウ駆動装置(ドライブ)で
宇宙船が星系を超えて飛び交う世界
頭ぐるぐるになりながら
人間の少年としてのリィの過去を読み進むうち・・・
な、な、なんだ、これはデ・ジャヴュか???
知ってる気がする・・・この世界・・・

・・・「スカーレット・ウィザード」だあああ

ついに女王と海賊の最強ご夫婦まで登場し
リィの過去の痛みと、死者を再生する禁断の実験をめぐり
金・銀・黒の3人の天使(リィ・シェラ・ルゥ)が大暴れのSF作品
それが「暁の天使たち」

外伝は、このシリーズのテーマが「学園もの」だったにもかかわらず
ブチギレた黒い天使(ルゥ)と
脇役になんか収まるはずのない最強夫婦の暴走で
シリアスにヴァイオレンスに進行したため
外伝で思う存分「学園もの」を!!という趣き(笑)
帯のコピーのとおり
「天使とゾンビの平和で平凡な一般市民的日常」である
リィとシェラのメイドコスプレは爆笑だ

「暁の天使たち」シリーズは
ファンのあいだでもかなり賛否両論らしい
「デルフィニア戦記」「スカーレット・ウィザード」ともに
完成度の高さと独特の世界観をもつ作品だけに
■こんなかたちで無理矢理つなげる必要があったのか?
■作家が自分の別作品のキャラを共演させる同人誌みたいな
お遊びでイメージくずさないで
といったあたりが反対派の意見かな

でも、あたしは楽しく読めた
二つの作品を無理にくっつけたのではなく
このシナリオはあらかじめ作者の頭の中にあったと思う、くっきりと
びっくりしたと最初に書いたけど
読み終わってみれば
すべてはこの結末へと繋がっていたのだと

特に「天使たちの華劇」の最終話『趣味の時間』のラストシーン
作者はこれが書きたかったんじゃないかと思った

今はもう戻ることもできない世界から来たシェラを
デルフィニアの「あの人」に
もう一度会わせるために

☆このシリーズだけでも読めなくはないけど
できれば前述の二つの作品を読んでから
これを読んでほしいです
人の心をあえて説明したりしないのが持ち味の作者の
あまりにも、あっさり綴られたひと言ひと言の中の
前作を読んでこそわかる謎や深い思いや願い
存分に楽しんでほしいから

tensitainokageki.jpg

「天使たちの華劇」茅田砂胡(中央公論新社C-NOVELS)

茅田砂胡の本
「デルフィニア戦記(全18巻)」
「大鷲の誓い」
「スカーレット・ウィザード(全5巻)」SOLDOUT

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