生涯一書痴! 病高じて古本屋の店主になってしまった、ぺんぺんの読書日記です。書評ってほど偉そうなものではないですが(汗)読んで楽しかった本、いろいろ考えた本を紹介したいです
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初めて入った理容店。
女主人のおしゃべりと心地好いマッサージににウトウトしているうちに、
髪形はすごいことに・・・

金髪!
しましま頭!
丸坊主!


おーまいがあー!!Σ( ̄ロ ̄lll)

本人も周囲も戸惑うなか、そのせいで、いつしか性格まで変わっていき、
とんでもない出来事が…。
髪形の変化が巻き起こす、愉快、痛快、爽快な「事件」を描く連作短編集。

収録されている6編の主人公は、
本当に、どこにでもいそうな人たちだ。

気弱で上司にも後輩にも思ったことが言えず、
いつも人の顔色を伺って、遠慮ばかりしている庶務係の女性。

記憶喪失の男(実は・・・)。

定年退職して何もすることがないおじいさん。

「すみません」が口癖の頼りないサラリーマン。

就職浪人したが行きたい会社がみつからない女の子。

空き巣に入られた上にリストラされそうな、とほほなOL。

会社や家庭で言いたいことも言えず、
不満をためていた人たちが、
髪形が変わるだけで
面白いように性格まで変わってしまう。
言えなかったことを口に出し
できなかったことをやってみようと思う。
ささやかな変化だが
その人の人生にとっては大きな転換点となる出来事。
そんな「事件」を
あたたかい視点で描いた作品集だ。

髪型を変えるだけで、
人生そのものが変わることは現実にはありえないかもしれないが
リアリティのあるエピソードの積み重ねと
本当に身近にいそうな、そしてある意味自分を見ているような
人物造形と心理描写で
このファンタジーめいた物語を
明日、起こっても不思議じゃないこと」のように
現実感を持って読ませる作者の力量は
半端ではない。

あたしは、すでに
「髪型を変えるだけで人生は変わらないが
何かのきっかけには十分なりうる。」

と信じて始めている。(笑)

理不尽な世の中で
多くの我慢を強いられている人間には
普段、あまり意識はしないけど
「こういうふうにできたらいいなあ」
と思ってることがきっとある。
今日はなんとか持ちそうだからと
ラップをかけて心の冷蔵庫にしまっておく不満。
本当はやりたいのに、
仕事、家事、育児で、後回しにしてしまう願い。

人に嫌われたくなくて
波風を立てたくなくて
職や地位を失いたくなくて
目立ちたくなくて
怖くて
怠惰で
もしくは、自分の願いにさえ気づかないほど疲れていて

いろんな理由で、封じ込まれた願望。

この物語の主人公たちは
「きちんと自己主張する(嫌なことは嫌だと言う)」
「理不尽な目にあったら反撃する」
「犯罪から積極的に自分を守る」
「自分に自信をもつ」
「不正に目をつぶらない」
「自分が本当にやりたいことをみつける」

という自分の願いに
髪型が変わるという、ささやかなきっかけで向き合うことができたのだ。

思っていたことを実行に移し
言いたいことを言い放つ彼らの姿は、
水戸黄門の印籠」的に、

すこーーーーんと突き抜けたカタルシスを与えてくれる。

いや、ご老公がなんだかんだいっても
個人の力量ではなく
「権力」を支えにしていることを考えると
むしろ「ロッキー」的と言ったほうがいいのか(笑)

「エイドリアーーーーーンっ!!」

みんなの心の奥底の願望を
見抜いたかのように
その人に合った髪型を
勝手に、ざくざく作ってしまう(笑)魔法使いのような女理容師が
結局、どういう人なのか謎のままなのも
なんとなく、あたしは好きだぞ(笑)

さて。
ただひとつ、悩んだのがタイトル。
「わらの人」
「わらの人」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんで「わらの人っ」???

溺れる者はわらをも掴む」?
謎の女理容師さんが
彼らにとって、そういう存在だったってこと?
うーん。
でも、微妙に違うような・・・
知らずに掴んじゃったわけだしな(爆)

と書いたところで
なんか・・・
わかったような・・・

もしかして
サム・ペキンパー監督
ダスティン・ホフマン主演

あれかもっ???

「わらの犬」!!

物騒な都会生活から逃れるため、
妻と共に田舎に引っ越した数学者が
村の若者たちから理不尽とも言える卑劣な嫌がらせを受け
何をされても無抵抗だった平和主義者の彼が
ある日、あまりの仕打ちにぷっつりキレて
大爆発という・・・

確かに、第一話「眉の巻」の沙紀ちゃんの
反撃に通じる空気があるような気がする。
(あ、あの映画と違って
あくまでも後味はいいからね。笑)

もともと「わらの犬」は
老子の言葉から来ていて
「とるにたらないもの」というような意味もあり
この「わらの犬」ならぬ「わらの人」には

「日常ウォーズ~普通の人々の逆襲的な

意味がこめられてるのかもしれない。

waranohito.jpg

「わらの人」山本甲士(文藝春秋)
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