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生涯一書痴! 病高じて古本屋の店主になってしまった、ぺんぺんの読書日記です。書評ってほど偉そうなものではないですが(汗)読んで楽しかった本、いろいろ考えた本を紹介したいです
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あの頃、あたしたちは
消費の海で途方に暮れていた。

あふれかえる情報とモノ。
それらは、なまめかしく、あたしたちを誘った。

ふりかえると、
それは
「カタログの時代」だったんじゃないかと思う。

例えば、服。

貧乏な学生にも
いくらでも働き口はあって、
少し頑張ってバイトをすれば、
デザイナー、キャラクターズ・ブランドの服にさえ、
手を伸ばすことができた。

だけど、
このあいだまで、
学校では制服、家ではジャージ(笑)
休みの日のデートや友人との遊びに
ほんの少し、お洒落する程度の高校生、
百貨店やファッションビルなんて
30分電車に乗らなきゃないような田舎に住んでる高校生
だった若者たちに、
「自分に似合う服」「自分のスタイル」なんて
簡単に自力で見つけられるわけもなく(笑)
「流行」「トレンド」なるものを
教えてくれる雑誌やカタログが
生物や日本史のかわりに、教科書になったのだ。

そして、誰もが「にわか都会生活者」のスタイルを身につけていくと、

服や時計、靴や鞄の次は
「知」がファッションになった。

これはお洒落上級者の
ちょっとひねったアクセサリーの一つでもあったし、
はなから自分を飾るお金もそのつもりもない貧乏学生、
そして真に知識を求める一部の若者にとっても、
自尊心をくすぐる魅力的な装いだった。
カタログやガイドブックを片手に
それぞれの動機で、
結構、真摯に本や映画を一生懸命求めた頃があったのだよ。

この本は、ある意味、
知識や教養さえもカタログ化される、
そんな時代の遺物とも言える。

時を同じくして、
一世を風靡したニュー・アカデミズムの舞台となった
雑誌『パイディア』(竹内書店)を創刊し、
中央公論社に移って、『海』で、塙嘉彦、村松友視とともに伝説的な黄金時代を築き、
売れ行き不振で廃刊直前の『マリ・クレール』
「特集:読書の快楽」で完売させ、以後

「特集〇〇」「~のベスト〇〇」

というかたちの数々の企画やガイドブックを仕掛けた
自称「スーパーエディター」「天才ヤスケン」こと
安原顯(やすはらけん)のプロデュース本だからだ。

まだ、「自らが村上春樹の才能を発掘した」という
ちょっぴりビッグマウスが通用した
安原顯と春樹さんの蜜月時代(つーか普通に親交のあった時代)に
に作られた本。
(後に、突如、ヤスケンは村上春樹批判にまわり、
無断で持ち出した春樹さんの生原稿を古書店に売却するという事件にまで
発展して決別することになるのだが・・・汗)

確かに、素晴らしいひらめきと才能を持つ編集者だったのだと思う。
多くの作家さん(大江健三郎とか)とのトラブルはあったが、
あたしも大好きな、吉本ばなな『TUGUMI』を『マリ・クレール』に連載したこと、
当時は版画家としか知られていなかった山本容子を挿画に起用し、
ベストセラーにした手腕はすごいし、
あたしが愛読していた本も、
彼の手がけたものがいくつかあるし。

たぶん、そういう編集者としての力を持ちながら、
あくまでも他人のプロデュースではなく
自分自身が「書く人」でありたかった彼の葛藤が
様々な不運な出来事を呼び寄せてしまったのかもしれないね。

この「映画をめぐる冒険」
村上龍との対談集「ウォーク ドント ラン」と並んで、

春樹本コレクターの関所と言われるくらいレア本になり、

どれだけ復刊リクエストがあっても
再刊も文庫化もされない、
というのは、この春樹さんとヤスケンの確執?が理由と思われる。

それはとても悲しいことだけど、
春樹さんファンとしては、
映画への思い入れのたっぷり詰まった楽しいこの本を
世に出してくれたことへの感謝もあるから、
なんだか複雑な気持ちだ(泣)

<詳しい内容は後編へ続く>
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古本ぺんぎん堂店主
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