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生涯一書痴! 病高じて古本屋の店主になってしまった、ぺんぺんの読書日記です。書評ってほど偉そうなものではないですが(汗)読んで楽しかった本、いろいろ考えた本を紹介したいです
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アンソロジー。

ああ。素敵な響きだ。

でも、それなあに?
って言われたら、
なんて答えたら、いいんだろう?

詩や小説などの文学作品や漫画などを
ジャンル、主題、時代、作者など、特定の基準に添って、選び、集めたもの。


という感じかなあ。

あたしは、大好きです。アンソロジー。

アンソロジーの楽しみは、おおまかに二つあると思うんだ。

ひとつは・・・。
意外な(未知の)作家との出会い。
つまりは、読書の幅を広げる水先案内としての役割かな。

あたしは仕事でも趣味でも、ものすごい量の本を
空気のように水のように摂取してるけど、
それでもまだ、知らない作品がたくさんある。
新しい作品との出会いは
新刊書店や古本屋での理由なき一目惚れもあるし・・・。
意図的に探すなら、
図書館で、タイトルや装幀など、どんな動機であれ、
心惹かれたものを片っ端から読んでみて、
気に入った人の本を全部読んでみる、
なんていう方法があるけど・・・。
このアンソロジーも、かなり有効な手段だ。

もうひとつは・・・。
選者の個性や、テーマを楽しむ。
じゃないかと。

自分が、好きな作家、評論家、編集者が、
読んでお気に入りのもの、影響を受けたもの、高い評価を与えているもの、

やっぱり興味をそそる。

そして、テーマ設定は・・・。
もちろん、「80年代SF傑作選」とか「時代小説傑作選」「ホラー漫画アンソロジー」
なんてタイトルだと、
わかりやすいのはわかりやすい。
でも、普段、自分で好んで選ぶジャンル以外のものに
出会ってみたいと思ったら、
そういうカテゴリーとは別のくくり、も必要だよね?

このジャンルは
どちらかというと海外での方がポピュラーで
日本ではアンソロジーはあまり売れない、という定説があるらしいのだけど、
二つの魅力を兼ね備えたアンソロジーが
日本にもちゃんとあるよ♪

あたしのおすすめは、
日本ペンクラブ編で、日本の当代の人気作家さんが選んだもの。
(古くは集英社刊のシリーズと、
いまは絶版だけど福武文庫のシリーズがある。
選者が魅力的で、あたしもたくさん持ってるし
古本ぺんぎん堂にも、何冊か出してる)

この文藝春秋・編
「アンソロジー人間の情景」(文春文庫)

文藝春秋70周年記念出版の、かなり気合いの入った企画で、
本当に、古今東西の幅広い作品の中から採られていること。
人間の営みから人々の共感を呼びそうなテーマ選び出したことにより、
ジャンルを超えた収録が可能になったことで、
高く評価されていいシリーズだと思う。

今までも、バラでは何冊か店で扱ってきて、
ほとんどがすぐに売れてしまった。

特に、6の「奇妙なはなし」は
出品すると、いつも、即、売り切れ(大汗)
「たんぽぽ娘」(ロバート・F・ヤング/伊藤典夫・訳)
入ってるからなあ・・・。
SFマガジン読者の選んだオールタイム・ベストSF海外短篇部門14位(1989年2月号発表)
プロの作家・評論家、読者による
オールタイム・ベストSF海外短篇部門8位(SFマガジン1998年1月号発表)
に選ばれた作品で、根強い人気があるのに復刊されない。
(海外作品は版権の問題なんかがややこしいのかも)

手に入らない、となると、ますます読んでみたくなるのが人情(笑)
この作品が収録されたアンソロジー
創元推理文庫『年間SF傑作選2』
集英社コバルト文庫『たんぽぽ娘』
ともに絶版で相当に入手困難!(涙)
しかも古書価格はものすごい高額。

「アンソロジー人間の情景6」に入ってることを発見し、
前の二つに較べたら多少は見つかりやすいし、
「たんぽぽ娘」読みたいだけなら、何千円も出さなくてもこれでいいんじゃないの?
古本ぺんぎん堂のおすすめ本として、何度も出品してきて、
店で一番人気を誇る本だ。
(現在は品切れ中。見つけたら出します。)

でも、これだけじゃなく、他の短編もすごく面白い。
もちろん、他の巻にも、

「おおっ」と唸るような渋い作品、エッジの効いた作品、心がほっこりするような作品
がたくさん入っているから、

短編小説が好きな人、
何かおもしろい本ないかな、と思ってる人、
普段、自分では買わないタイプの作品もたまには読んでみたいな、という人、

には、おすすめだ。

今回、店で、このシリーズを全巻セットで入手、出品することができたから、
単に売るだけじゃなくて、
店の商品情報を、

『本好きの人のためのデータベース』

としても活用してほしい、
と思ってるあたしは、全収録作品リストの作成を思い立ったわけです(笑)
これ、売っちゃったら、もう二度目はないかもしれないし(笑)

って、ことで、1冊1冊についてのブックレヴューまでは無理だけど(収録作多すぎて。汗)
各巻の収録作品と、出版社による内容紹介書影は、なんとか全部、載せてみるね。

anthology1

■アンソロジー人間の情景1『運命の法則』(1992年9月10日発行)
<一国の大臣を死に追いこんだ言葉、偶然がかさなって死刑になる男、敗戦で没落していく名家、
好運な者だけが生き残れる戦場での日々、復讐の機会を待ち続けた男・・・。皮肉なめぐりあわせ、風変わりな生涯、謎の死など、人の世の運命にひそむ不思議さをテーマに古今東西の傑作短篇の数々を収録した豪華アンソロジー>

Ⅰ・霧のかなたに
『四つの文字 (或る自殺者)』林房雄
『西太后の壺』吉屋信子
『勝負事』菊池寛

Ⅱ・予期せぬ終末
『ある殺人犯の告白』サキ
『マテオ・ファルコネ』プロスペル・メリメ
『身投げ救助業』菊池寛

Ⅲ・生のさなかで
『悟浄歎異―沙門悟浄の手記―』中島敦
『とうがらし』獅子文六
『見晴らし茶屋』井伏鱒二

IV・翻弄されて
『燕』伊藤永之介
『蟻(しびれ)』ボリス・ヴィアン
『追儺』森鴎外
『運命のネクタイ』阿部知二

V・決断の一瞬
『空飛ぶ騎手』アンブローズ・ビアス
『その一発』アレクサンドル・プーシキン
『形』菊池寛

VI・神様の失敗
『朝霧』永井龍男
『ほんもの』ヘンリー・ジェイムズ

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■アンソロジー人間の情景2『おんなの領分』(1992年10月10日発行)
<忘れえぬ美女、謎の少女、娼婦の迫力、女スリの悲哀、大和ナデシコの大奮闘、妙に色っぽい人妻、黒衣をまとった尼・・・。
永井荷風、太宰治、久生十蘭、林芙美子からチェーホフ、モーパッサンまで、さまざまなタイプの女性を描いた古今東西の傑作短篇が大集合。女性の魅力を伝えるちょっと皮肉なアンソロジー> 

I・かわいい女
『美女』アントン・チェーホフ
『恥』太宰治
『モンテカルロの下着』久生十蘭
『じねんじょ』三浦哲郎

II・あやうい時間
『足にさわった女』澤田撫松
『人妻』永井荷風
『花束』十一谷義三郎

III・悲劇の予感
『初代の女』飯沢匡
『さかだち』柴田錬三郎
『待っている女』山川方夫
『かなしき女王』フィオナ・マクラウド

IV・変幻自在
『雨』北原武夫
『黒髪』大岡昇平
『嫉妬について (「話のたね」より)』池田弥三郎

V・女か蛇か
『蛇』ジョン・スタインベック
『二十九号の寝台』ギイ・ド・モーパッサン
『髪結いのおとら (「凡愚列伝」より)』長谷川如是閑

VI・かかってきなさい
『三人の肥った女』W・サマセット・モーム
『晩菊』林芙美子
『風変りな女 (「話のたね」より)』池田弥三郎

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■アンソロジー人間の情景3『愛の迷宮』(1992年11月10日発行)
<八十年前に生きていた娘に恋した青年、故郷を訪れて見つけた昔書いた恋文、十五年ぶりに会った男女の束の間の逢瀬。野上弥生子、福永武彦、菊池寛からグリーン、ハーディまで、男と女のせつない出会いと別れ、夫婦の怖さ滑楕さを描く古今東西の傑作短篇を多数収録。愛されるより愛したくなる好アンソロジー>

I・忘れないで
『愛の手紙』ジャック・フィニイ
『あなたの最も好きな場所』福永武彦
『無邪気』グレアム・グリーン
『神います 』川端康成
『金糸雀 』川端康成

II・止まった時計
『ある恋の話』菊池寛
『六の宮の姫君』芥川龍之介
『言葉のはなし』宇野信夫

III・屋根の下の他人
『妻ゆえに』トマス・ハーディ
『あばずれ女の亭主が歌った』中原中也
『ソラキガエシ』真鍋呉夫
『正直な夫』伊藤整

IV・大目にみてよ
『堯舜』石川淳
『亭主素描』阿川弘之
『せけんばなし』宇野信夫

V・せつない話
『二つの部屋』田畑修一郎
『小指』堤千代
『帰宅』(Le Retour) シャルル=ルイ・フィリップ(Charles-Louis Philippe)

VI・終焉のとき
『茶料理』野上弥生子
『祭の夜の出来事』加藤武雄

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■アンソロジー人間の情景4『こんな人たち』 (1992年12月10日発行)
<天才、凡才、奇人、変人、小市民。まったく世の中は面白い人間でいっぱいだ。家賃を踏み倒して平然としているヤツ、やたらにおせっかいなヤツ、禁酒宣言しておいてやはり飲んでしまうヤツ。
鴎外から作曲家ヴァーグナーの異色作まで、さまざまな人間の生態を描いた短篇が大集合。本で人間ウォッチング>

I・ちょっとばかりヘンな人
『人の棲家』平林たい子
『自由の館』リング・ラードナー
『サウンド・オブ・ミュージック』 和田 誠

II・天才のかなしみ
『ベートーヴェンまいり』ワグナー
『本気で打ってもよろしいか』田村竜騎兵
『田楽豆腐』森鴎外

III・町角の風景
『たばこ娘』源氏鶏太
『一年の計』佐々木邦
『重兵衛さんの一家』寺田寅彦

IV・ふしぎな世渡り
『ある本の物語』リチャード・ミドルトン
『女ペテン師ザビーネの冒険』種村季弘

V・人は見かけに・・・
『サムの新弟子』ジョンストン・マッカレー
『とんかつ』三浦哲郎
『殿様はクーデターがお好き』浅羽通明

VI・奇人でわるいか
『明治奇人伝 (抄)』風見章
『福翁自伝 (抄)』福沢諭吉

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■アンソロジー人間の情景5 『人生の達人』(1993年1月10日発行)
<大事に生きてもたかだか数十年の寿命なのですが、これでどうしてどうして、なにをやってもうまくゆく人とドジばかり踏む人とどうも公平ではないもののようで。東西の傑作短驚に登場する変な人、のんびりした人、ズレている人、しぶとい人、ケチな人、陽気な人、なんだか愉快で味のある人たちをご鑑賞下さい>

I・女は天才である
『視界ゼロ飛行』藤原審爾
『あばばばば』芥川龍之介
『女だけの世界』コーリイ・フォード

II・一筋縄でいかないぞ
『置土産』正岡容
『閻魔堂橋』宇野信夫
『江戸川柳の鑑賞とその味(抄)』川上三太郎

III・その手は食いません
『ボヤキの大岡』尾崎一雄
『イカリの尾崎』大岡昇平
『投了の芸術(抄)』中山典之

IV・なかなかうまくゆかなくて
『ヴレイ』ロバート・ルイス・スティーヴンスン
『秋山小助』北原白秋
『男だけの世界』コーリイ・フォード

V・気楽にやろうよ
『ビクスビイ夫人と大佐のコート』ロアルド・ダール
『ボートの三人男』ジェローム・K・ジェローム
『冷や飯に沢庵』子母沢寛

VI・ちょっとばかりごめんなさい
『黒い煎餅』阿川弘之
『泥酔懺悔』獅子文六
『ひと我らを酒乱の徒と罵れど』野坂昭如&長部日出雄
『じいさんの酒のんで』阪田寛夫 
 
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■アンソロジー人間の情景6『奇妙なはなし』(1993年2月10日発行)
<不思議な少女の訪れで一人暮しの未亡人の生活は一変して・・・。すさまじい空襲のさ中、防空壕の中で会った美女はどこに消えたのか。本当の恐怖は、平凡な日常の中にこそひそんでいる。カポーティー、江戸川乱歩、澁澤龍彦、夢野久作、半村良など、奇妙な味わいをもつ古今東西の傑作短篇を多数収録したアンソロジー。>

I・日常の隙間
『ミリアム』トルーマン・カポーティ
『足あと』カレル・チャペック
『魔物』 中山義秀

II・時空を越えて
『過去への電話』福島正実
『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング
『沼』芥川龍之介

III・悪夢の迷路
『人面疽』 谷崎潤一郎
『死人の村』ラドヤード・キップリング
『蛇』夏目漱石

IV・もう一つの世界
『エル・ドラドオ』香山滋
『時間をかけた料理』津山紘一
『猫町紀行』つげ義春
『簟笥』半村良

V・消えた人々
『防空壕』江戸川乱歩
『沼のほとり』豊島与志雄
『セメント樽の中の手紙』葉山嘉樹

VI・絶対絶命
『穴の底』伊藤人誉
『花妖記』渋澤龍彦
『空中』夢野久作
 
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■アンソロジー人間の情景7 『別れのとき』(1993年3月10日発行)
<愛別、離別、そして死・・・。人間にはさまざまな素晴らしい出会いがあり、それゆえまたさまざまな別れも経験する。太宰治、田中英光、大彿次郎、坂口安吾、室生犀星からモーパッサン、ポーそして落語にいたるまで、感銘深い別れの諸相を描いた古今東西の傑作短篇を集めて贈る。終り良ければすべて良し。>

I・さようならなくてはならぬ故・・・
『さようなら』田中英光
『駈込み訴え』太宰治
『磯』竹山道雄

II・その瞬間
『詩人』大佛次郎
『赤い死の舞踏会』エドガー・アラン・ポオ
『最後の夕やけ』谷川俊太郎
『遠い友よ』蔵原伸二郎

III・楽しくやろうよ
『村のひと騒ぎ』坂口安吾
『地獄八景 (抄)』桂米朝
『UFOの夢』龍胆寺雄
『気違いお茶会 ―麻布の紅茶』種村季弘

IV・愛する者と
『宝石』ギイ・ド・モーパッサン
『旅の終り』辻邦生
『音楽時計』室生犀星

V・追いつめられて
『生命の掟』ジャック・ロンドン
『レマン湖畔の悲劇』シュテファン・ツヴァイク
『死相』芥川龍之介
『古い長持』城昌幸

VI・幕をひくとき
『尻の穴』高見順
『最後の接吻』ナディーン・ゴーディマー
『死を悼む言葉』夏目漱石ほか
『三山居士』夏目漱石
『葬儀記』芥川龍之介
『弔辞』菊池寛
『菊池寛弔辞』川端康成
『川端さんの死に就いて』丹羽文雄
『挽歌「シムベリン」より』ウイリアム・シェイクスピア
『なにもないねこ』別役実
『勸酒』于武陵
 
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■アンソロジー人間の情景8 『動物との日々』(1993年4月10日発行)
<厳しい自然界、人間と暮らす日常、謎と幻想の世界のなかで、動物たちは心温まる幸福な日々や、信じ難いほどシビアなドラマを繰り広げる。オーウェル、シチェドリン、魯迅から内田百聞、井伏鱒二、戸川幸夫、開高健、小川国夫まで、動物たちと人々が共に生きるかけがえのない日々を描く古今東西の傑作短篇集。>

Ⅰ・夢のように
『猫の子』ヘンリー・スレッサー
『悲恋』 岸田今日子
『おさる日記』和田誠
『魚病』吉田知子
『一角獣』ライナー・マリーア・リルケ

II・手のかかる隣人
『スカンク戦争』H・M・バットン
『にしき蛇』高橋峯吉
『まずミミズを釣ること』開高 健
『話のたねより 前篇』池田弥三郎

III・謎への接近
『仏法僧』戸川幸夫
『スプリングフィールドの狐』アーネスト・シートン
『話のたねより 後篇』池田弥三郎

Ⅳ・私に殺すなというのか
『象を撃つ』ジョージ・オーウェル
『哀れな狼』シチェドリン
『火喰鳥』小川国夫
『「良寛詩集」より』良寛

V・人のなかで
『犬の仔』井伏鱒二
『リスを育てる』中西悟堂
『兔と猫』魯迅
『あひるの喜劇』魯迅
『我猫記』木村荘八
『私の猫達』木村荘八
『お通夜の猫』大佛次郎
『ここに人あり』大佛次郎
『海亀』近藤啓太郎

VI・あなたが頼り
『猫の耳の秋風』内田百
『引越という難問に出会って』高田宏
『猫と手袋』阿部昭

「アンソロジー人間の情景」文藝春秋・編(文春文庫)

商品の詳細データを古本ぺんぎん堂で見る    
アンソロジー人間の情景<全8巻>

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

あたしは、栗本薫グイン・サーガ
ずっと買い続けてる(汗)

現時点で、正伝(本編)119巻、外伝22冊
一人の作家が書いたものとしては
間違いなく世界で一番長い物語
(「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズも長いけど
複数の作家さんの共作だし)
場所は取るし
費やしたお金も相当だし
大変なんだけど、それでも、やめられない(笑)
大好きな大好きな作品だ。

物語の舞台は
地球に酷似した惑星上にあるキレノア大陸の西端近くにある
中原」と呼ばれる地域。
北をケイロニア
東をゴーラ(モンゴール、ユラニア、クムの三大公国からなる)
南をパロという大国が支配する世界で
首都クリスタルへのモンゴール軍の奇襲により、
中原の歴史ある国パロは滅亡の危機に瀕していた。
国王、王妃までもがモンゴール兵の手により殺害されるという状況の中、
パロ王家に太古より伝わる古代機械(物質転送装置)を用いて、
国王の長男にして王太子であるレムスと、その双子の姉リンダ
友邦国アルゴスへと逃がされようとしていたが、
古代機械の座標設定に狂いが生じ、
二人はあろうことか敵勢力のまっただ中、
モンゴールの辺境、魑魅魍魎の跋扈するルードの森へと
転送されてしまった。
怯えて身を隠す二人を、ついにモンゴール軍の小隊が発見した
絶体絶命の危機に、彼らの前に突然現れたのは
伝説のシレノスの化身かとも見まがうような
豹頭人身の異形の超戦士だった!!
グイン」という己自身の名と
アウラ」「ランドック」という言葉以外は
全ての記憶を失っていた彼は、
双子と
辺境の砦スタフォロス城で出会った
紅の傭兵イシュトヴァーンと共にケス河を越え
妖しい瘴気渦巻く砂漠の地ノスフェラスを最初の舞台に、
苦難に満ちたパロへの帰還の旅が始まる・・・。

豹頭の戦士であるグインを主人公として、
架空の世界、架空の時代に生きる、
さまざまな人物の生と死、
国の存亡を賭けての戦争、策謀、外交の歴史
を描いた一大叙事詩。
はかない人間の・・・それでも精一杯の人生が交錯する。
それぞれの野望、妄執、友情、決別、恋愛が織りなす
壮大なヒロイック・ファンタジー
その物語は、遠く宇宙にまで続く。

な、なんて、すごいんだろう・・・。

人間の想像力って
一つの星、そして架空の宇宙さえ作り上げてしまうような
力を持っているんだ!?
しかも、ものすごい人数の登場人物なのに
ひとりひとりのキャラが立ってて
それぞれの国の歴史や系譜まで
ちゃんと忘れずに把握できるほど
作りこまれてるのに感嘆!!

最初の5冊を、たまたま読んで
もう完全に、はまってしまい
その時点での既刊約50冊を
古本で、こつこつ買い集め、
全部揃えてからは
楽しみに新刊を待つようになった。

もう、ずいぶん、長いつきあいだ(笑)

そして・・・
またまた、ちゃんと新刊で買った最新刊
それが、「ランドックの刻印
そのあとがきには、ものすごくショックな記述が・・・(汗)

作者の栗本薫さんが・・・
また(←栗本さんは昔、乳ガンを患われたことがある)
ガンで入院、手術?!

明るい諦観にあふれた
なるようにしかならない、
でも、頑張ってくるから待ってて♪
あと2冊分は、もう書いてあるストックがあるから
ちゃんと出るよー♪

みたいな意味合いの
とても、あっさりしたメッセージだったけど
涙が止まらなかった。

栗本さんのHP「神楽坂倶楽部」で
手術が上手くいったらしいこと
いったん退院したけど
2月24日から、抗がん剤治療のために
再入院することを知った。

「缶詰になったつもり」で入院してきます。

あくまで明るく書いていらっしゃる
栗本さんの言葉に胸が詰まる(泣)

でも、でも・・・。
ほんとに待ってます。

長く長く続いてる好きな作品っていうのは
いくつかあって・・・
例えば、美内すずえの「ガラスの仮面」とか
あしべゆうほの「クリスタルドラゴン」とか
この作品が完結する前に
著者が万が一、亡くなったり
自分がお釈迦になっちゃったりしたら

ぜってー、うかばれねえ!!

と思ったけど・・・
その中でも「グイン・サーガ」は
一番、そんな気持ちが強い作品なのだ。
あたしにとっては。

どういう結末になるかは、わからないけど
その瞬間を、歓喜とそして寂しさで
胸をいっぱいにして

うわあああああん!!


子どもみたいに、泣きながら
最終巻を読む日を信じて、
ずっとずっと待つから。

栗本さん、頑張ってください。

ぺんも
自分の店に
「グイン・サーガ」の全巻セットと
続きを読みたい人のために
バラ本も全巻、常に出品するのが、夢だから・・・。

ランドックの刻印

「グイン・サーガ119<ランドックの刻印>」
栗本薫(ハヤカワ文庫JA)

テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌

お気に入りの絵本が今日売れました。
復刊リクエストも多い
結構、レアもので、手に入ったら、また出品するけど
しばらく会えないかもしれないから
内容を忘れないように、餞のレビューを書いておこう(笑)
お客さまに愛されて何度も読んでもらうんだよ。

山のふもとの荒地を耕してささやかに暮らす老夫婦。
ある日、ふたりの畑に、ももいろの芽みどりいろの芽が出て、
その芽が育って生った金の瓜と銀の豆から、
なんと可愛い男の子と女の子が現れる。

金の瓜銀の豆2


チン・クワル(金瓜児)と名付けられた兄と
イン・トオル(銀豆児)と名付けられた妹は
健やかに育って、おじいさんおばあさんを助けて、よく働き、
荒地は豊かな果樹園に。
そこを通りがかった欲深い地主・李は
美しい果樹園を我が物にしようと
「ここは元々、自分の土地だから、今までの年貢として
金銀それぞれ十両を払え」
との無理難題。
おじいさんおばあさんを助けるため
クワルとトオルは、金銀の眠るという金庫山に向かい・・・。

お話は、正統派の勧善懲悪モノで
すかっ!とした読後感。

瓜や豆から、子どもが生まれる
という、「桃太郎」や「かぐや姫」みたいな昔話が
中国にもあるんだ!!
と、びっくり(笑)
よく考えたら、昔の日本文化は
大陸から渡ってきたものが多いから
そういう物語があっても不思議じゃないんだけど(笑)

わかりやすく単純な物語でありながら
この本が、とても印象的なのは
やはり、日本の絵本とは違う
中国的な鮮やかな色彩と独特の雰囲気だろうか。

金の瓜銀の豆


切り絵のような、くっきりした描線に
原色ではない淡い色でも
妙に鮮烈に見える色の取り合わせ。

中華街のお土産もの屋さんに迷い込んだような

わくわくした気持ちになる。

アジアの国でありながら
生活や文化の面で
西洋の影響が強い日本。
出版される海外の物語や絵本も
アメリカやヨーロッパのものが圧倒的に多いと思うけど
起源を同じくする、どこか懐かしい物語
逆に新鮮な絵柄や色彩
アジアの絵本を
もっともっと読みたいし、
お客さまにも紹介していきたいな、
と思う古本ぺんぎん堂店主であった。

kinnouri.jpg

「金の瓜と銀の豆<中国の傑作絵本>」
チャオ・エンイ ぶん/ホー・ミン え/きみじまひさこ やく
(ほるぷ出版)

商品の詳細データを古本ぺんぎん堂で見る       
「金の瓜と銀の豆<中国の傑作絵本>」SOLDOUT

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

絵本って
ほんとに楽しい。

子どもに読み聞かせてあげるため
また、自分が楽しむために
よい絵本を探している人は多いと思うんだけど、
近くの小さな書店にはあまり児童書がない
とか
図書館のは、もう借りつくしてしまったよう(泣)
という人が
新しい絵本に出会うには
どうしたら、いいのか?


こういう書評やブックレビューを
絵本」にしぼって調べるのもあり、だろうし・・・
時々、ムックや雑誌に登場する
わたしの好きな絵本」のような特集や
ブックガイドを参考にするのもいいかも。

あたしは、仕事柄、とにかく手にとってみる派ですが(笑)
たくさんの本や著者を紹介してあるブックガイドは
調べもの用含め、あると便利。

このマーブルトロン社の
マーブルブックス(発売は中央公論新社)は
セレクトもセンスもデザインもなかなか素敵な本が多く
お気に入り。
この「私が1ばん好きな絵本3<海外の絵本150選>」は
愛と孤独を知る絵本/グラフィカルな絵本/ガーリー絵本
/ラブ&ピースな絵本/気になる東欧・北欧の絵本/大切な人にプレゼントしたい絵本
など、翻訳モノを中心に厳選した海外作家の絵本を
シーン別に紹介したガイドブックだ。
(同じシリーズに「日本の絵本150選」もある)
版元品切れの本だけど、
昨年、日本編、海外編を合わせた愛蔵版が
「絵本、大好き!」として刊行されたので、
こちらはまだ入手可能。

今回は、この本自体の紹介というより
海外の絵本150選の中から、
ぺんも好きなものについて
少し書いてみようかな、と。

まずは。

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「あおくんときいろちゃん」
作・絵 レオ・レオニ(至光社)

あおくんきいろちゃんは、とってもなかよし。
ある日あおくんのママは、あおくんにお留守番を頼んでお買い物に。
あおくんはきいろちゃんと遊びたくて家を出て
あちこち探しますがきいろちゃんはいません。
とうとう街角でばったりきいろちゃんと出会いました。
あおくんときいろちゃんは嬉しくてくっつき・・・
みどりちゃんになってしまいます。
遊びつかれて家に帰りますが、
みどりになったふたりは「うちのこじゃない」と言われてしまいます。
あおくんときいろちゃんは泣いて、泣いて、
ふたりは全部になってしまいます。
あおの涙はあおくんに、きいろの涙はきいろちゃんになりました。
あおくんのパパやママはあおくんが帰ってきて大喜び。
喜んできいろちゃんを抱き上げると・・・みどりになりました。
おとなたちはそれを見ていきさつを理解しました。
そして、みんなで抱き合って・・・みどりになって・・・
喜びを分かち合うのでした。

レオ・レオニさんがお孫さんのために作った絵本。
様々な楽しみ方ができるのがロングセラーの理由。
子どもに色の概念を教える教育的絵本と見る人もいるだろうし
仲良くすることのすばらしさを素直に楽しむもよし
恋愛中の人には、愛の絵本として読める。
深読みすれば、この
人種、宗教、思想信条などにも置き換えることができ、
融和、協調への願いとも取れる。
いろんな意味で
LOVE&PEACEな絵本。ブラヴォ。

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「てぶくろ」
ウクライナ民話
絵: エウゲーニー・M・ラチョフ
訳: 内田 莉莎子
(福音館書店)
 
雪の降る森の中、
子犬と歩いていたおじいさんが手袋を片方落とす。
冷たい雪の上に落ちた、あたたかそうなふかふかの手袋に、
「ここで暮らすことにするわ」
と最初に入ったのはねずみ
次々と集まってくる動物たち。
「中にいるのは誰?」
「入れて?」
「どうぞ」

のくりかえしだが
テンポがあって、おもしろい。
自分も手袋の住人になった気分(笑)
かえる。うさぎ。きつね。おおかみ。いのしし。
「入れて」と、やってくる動物が
どんどん大きくなっていって

「だめだよおお、もう入らないよー!!」

と叫びたくなるが、なぜか入っちゃう(笑)
最後は、くま。
無理っ!無理ってば!
でも、入っちゃったねえ(笑)
ありえないけど、楽しいのだ。
住人が増えるにつれて、
はしごが付いたり窓が出来たり改装されていく
手袋ハウス(笑)の微妙な進化が楽しめる。
このお話は、民話だから、
言い回しや絵の違う複数の絵本が存在するが、
ウクライナ的な民族衣装風のデザイン、色彩は
日本の絵本には、ない感じで、とても素敵だから
このラチョフ画の絵本が、あたしは一番好きだ。

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「さむがりやのサンタ」
作・絵:レイモンド・ブリッグズ
訳:すがはら ひろくに
(福音館書店)

ベッドの中で熟睡するサンタのおじいさん。
常夏のビーチでくつろぐ夢の途中で目覚まし時計に
起こされる。

「やれやれ、またクリスマスか!」

コミックのようなコマ割りで、
サンタクロースの一年で一番忙しい一日を
ユーモアたっぷりに描いたクリスマス絵本。
物語らしい物語はないのだけど、
狭い煙突に文句を言ったり、
サンタの衣裳の下に、ももひきをはいたり(笑)
食事を作ったり、一杯やったり、一休みしたり、
そんな人間味あふれるサンタの姿に
笑いがこみあげる。
緻密に描かれた、生活や町の描写は何度見てもあきない。
あたしも小さい頃、読んだときは
起きぬけにサンタさん入れるあったかいミルクティや
卵とベーコンの朝食、クリスマスのごちそうや
大きなツリーや煙突のあるおうち、など
イギリスの生活の一端に触れて、
すごく憧れたよお!
それに、いまひとつサンタというものに
イメージや実感のわかなかった日本の田舎の子どもには
普通のまわりの大人の人みたいに
ちょっぴり文句も言いながら、
魔法みたいにじゃなく、お仕事として
一生懸命、プレゼントを運ぶサンタさんは
はじめて、リアルな存在として感じられ、
ますますクリスマスが楽しみになった気がする。
大人も子どもも一緒に楽しめる本。

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「しろいうさぎとくろいうさぎ」
作・絵: ガース・ウイリアムズ
訳: 松岡 享子
出版社: 福音館書店

二ひきのちいさなうさぎが、
ひろいもりのなかに、住んでいました。
二ひきは毎日、楽しく遊んでいましたが
ときおり、くろいうさぎは。とても悲しそうな顔をします。
どうしたのか訊ねるしろうさぎに、
くろうさぎは言います。
「ぼく、ねがいごとをしているんだよ。
いつも いつも、いつまでも、
きみといっしょにいられますようにってさ。」


大好きな相手がいなくなったらどうしよう
という不安。
ずっと一緒にいるには、どうしたらいいのか?

二ひきは手を握り合い、
たんぽぽの花を摘んで耳にさす。
他のうさぎたちや、
森に住む動物達がやってきて、
月の光の中で結婚式のダンスを踊る。

そうかあああ!

結婚って、こういうことなんだ!


ものすごくシンプルな愛のかたちに
子どもは素直に納得し、
大人は、なんだか胸がきゅううっとなる。
あたしの幼少時のお気に入りであったけど、
大人になって読み返すと、また違う感慨が。
プロポーズのときに送る人がいる
というのもうなずける。

そして、物語と共に素晴らしいのはウィリアムズの絵だ。
しろいうさぎとくろいうさぎのやさしい愛の物語が
墨絵のような濃淡でやわらかく語られる。
子どもの好きそうな、明るく、くっきりした色でなく
白と黒を基調にした抑えた色彩で描かれた二ひきのうさぎは
ふわふわの手触りまで感じられそうなほど可愛くて
その静かな色合いの中に映える黄色いたんぽぽの美しさは
切なくなるほど。

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「ふくろうくん」
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
(文化出版局)

お人好しで、ちょっとおっちょこちょいでやさしい、
ひとり暮しのふくろうくんの日常を描いた、
なんともいえないほのぼのとしたお話。
寒い夜にやってきた「ふゆくん」の大暴れ。(おきゃくさま
ベッドに入って寝ようとしたら、足元にある
ふたつのこんもりしたものが気になって眠れないふくろうくん。(こんもりおやま
いろんな悲しいことを思い出し、やかんにためた涙で入れた紅茶を
美味しそうに飲むふくろうくん。(なみだのおちゃ
二階建ての家の1階にいるときは、上が気になり
2階にいるときは、下が気になり
なんとか上と下に同時に存在できないかと
階段を走りまわるふくろうくん。(うえとした
追いかけてくるお月さま。(おつきさま
いろんな不思議を真剣に悩み考える様子は、
なんとなく小さい子どもの興味のあり方に似てる。
大人には、当然のことでも、日常の中には
子どもにとってのミステリーがいっぱい。
あれこれ話しながら、一緒に面白がってあげればいいんだ。
そんな楽しい気持ちを、ふくろうくんは教えてくれる。
ユーモラスな絵と三木卓さんの訳も秀逸。

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私が1ばん好きな絵本3<海外の絵本150選>
(マーブルブックス13)

古本ぺんぎん堂で探す
「私が1ばん好きな絵本3<海外の絵本150選>」
「てぶくろ」
「さむがりやのサンタ」
「ふくろうくん」SOLDOUT
(ローベルのほかの本「どろんここぶた」

テーマ:絵本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

★ネタバレ注意報★

先日、クリスマスプレゼントに
いただいた絵本を紹介したから、
今度は、あたしがプレゼントした絵本を・・・。

クリスマスの贈り物を探していて、
もっと、いかにも”クリスマスううう!”なものも
あったんだけれど、
もう、一目惚れしてしまったんだ(笑)
この絵本の表紙に。
店の名前につけるくらい、ペンギンが好きだからね(笑)

でも、読んでみたら
可愛いだけの、ペンギン絵本とはひと味違って・・・。
物語の世界に、一気に引き込まれて
不覚にも、新刊書店の片隅で泣きそうになってしまった(大汗)

あるひドアをあけるとペンギンがいました。

そうなの。いるのよ。唐突に(爆)

何にも、しゃべらないし
さびしそうに見えるんだけど
とにかく、おとこのこのあとを
ずっとついてくる。

おとこのこは
どこからきたのかもわからないペンギンを

きっと「まいご」なんだ!!

と思って、
トリたちにきいたり、本で調べたりして
ついにはペンギンをうちに帰してあげるため
二人で南極へとボートを漕ぎ出す・・・。

普通は、これで
めでたしめでたし♪
になるんじゃないのっ???

お父さんペンギンや
お母さんペンギンが
涙で迎えてくれて・・・
お礼に玉手箱とか、ペンギンの秘宝とか、くれたりしてさ(笑) ←違うってばよ!(爆)

さよなら。まいごのペンギン。

別れるとき、
ペンギンは(たぶん)今までで
一番さびしそうな顔をしてた。
ペンギンだから、表情読みにくいけど(泣)

おとこのこも
まいごのペンギンを南極に送ってあげて
いいことをした、よかった、
って喜んでいいはずなのに
なにか、まちがってる気がした。

ふたりは同じ気持ちだった。

ハグ。ハグハグ

言葉もなく、ぎゅうっと抱き合う。


ペンギンがどこから何のためにやってきたのか、
とか
どうやってきたのか
とか
そういうことは、説明されない。
でも、きっと、そんなことはどうでもいいのだ。

好きだ、という気持ちがすべてだ。

ときに、あたしたちは
好きな人のために、何をしてあげたらいいんだろう、
って
いろいろ考えて・・・
考えすぎて・・・
空回りしてしまうことあるね。

しゃべらないペンギンみたいに
黙っている相手の気持ちがわからなくなってしまう。

そんなときは・・・
理屈や理由を探すんじゃなく

ただ、思い出してみよう。

一緒にいたいのは・・・好きだから。

ただ、静かに、ぎゅううっとハグしてみよう。

一緒にいたら・・・うれしいから。

シンプルで、でも難しい
そんなことを、おとこのことペンギンが
教えてくれた。

あたしは、たまたまクリスマスに見つけたけど
お誕生日でも・・・
なんでもない日でも・・・

大好きな友だち、大好きな家族、大好きな人に
プレゼントしたくなる本。


作者のオリヴァー・ジェファーズ
アイルランドの新鋭の絵本作家さんで
この『まいごのペンギン』が2作目。
絵本デビュー作『みつけたよ、ぼくだけのほし』とともに
やさしいタッチと色彩、ユーモラスにデフォルメされたキャラクター、
本当に素敵で、何度見ても飽きない。

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「まいごのペンギン」作/オリヴァー・ジェファーズ
訳/三辺律子
(にいるぶっくす)

テーマ:絵本 - ジャンル:本・雑誌

★ネタバレ注意報★

あたしは、絵本や児童書が大好きです。
一度、小学校の図書館に大量に納品したから
小さな店の在庫がごっそりなくなってしまったけど(笑)
仕入れのたびに、こつこつとまた買い集めています。
店で、力を入れていきたいジャンルです。
なのに、なぜ、いままで
絵本の書評がなかったのかというと・・・。

はうううう( ̄ロ ̄lll)


どこまで、ストーリーをばらしていいのか

加減がわからないからっ!!(爆)


だって・・・。
絵本って、単純なストーリーのものが多くて
あらすじを書かないと、上手く紹介できないじゃない!
でも、これから、読む人に
多少ぼかしはしても、言っちゃっていいのか?っていうのもあって
上手く書けなかった。

だけど、絵本の魅力というのは
ストーリーだけじゃなくて
下手したら、1、2行で要約できてしまうような物語を
絵やセリフや表現の工夫でどんなに楽しく見せるか、
どうやって子どもたちを物語の世界に引き込むか
というあたりにあると思うし、
ミステリーやなにかと違って
結末がわかっちゃったから、それでおしまい、
っていうわけじゃなくて
一度読んだあとに
何度も何度も、読み返したくなるのが
本当に良い絵本の条件だと思うから・・・。

これからは
あまりネタバレのことを意識しすぎず
紹介していこうと思うんだ(笑)

つーことで、最初は・・・。
もう過ぎてしまったけど
今年刊行のクリスマス絵本の中で、秀逸だと思った一冊を。

実は、あたし自身がクリスマスプレゼントして
いただいた本だ。

マーガレットは、サンタクロースにあこがれる女の子。
彼女は、誰かをよろこばせたいという願いを
素直にもてる、やさしい子。
森や湖で見つけた、きれいな木の実や葉っぱを
ていねいに紙でくるんで、みんなにプレゼントしたりしているけれど
この時期、忙しい大人たちはあまり彼女にかまってくれない。
子どもにできる精一杯のささやかな贈り物では
人々をよろこばせることができないのかもと
小さな胸を痛めている。

あたしがサンタさんだったらいいのに、と。

クリスマスの前の朝、
突然現れたくるみ割り人形のルディが
彼女を不思議な冒険へといざなう。

「マーガレット嬢、むかえにきたでごす!」

トナカイのかわりに8羽の白い大きな鳥。
プレゼントの入った袋を持って
鳥の背中にまたがり、冬空を飛ぶマーガレット。
サンタになった彼女は
いったい何を配り、何を知るんだろう?

というお話。

よくあるクリスマス・ストーリーとは
少し違った味つけがされているのが素敵だ。

全然、可愛くない(笑)へんてこなしゃべり方の
くるみ割り人形がユニーク。

クリスマスの奇跡を信じたいのは
誰だって同じだけど
あまりにも、サンタ=神様に近いような

とびきりゴージャスな奇跡って

ちびっと胡散くさくない?(爆)
貧乏な家が一晩で大金持ちになったり
親には絶対買ってもらえないようなすごい贈り物をもらったり
死人が黄泉返ったりするのは(爆)
なんとなく、好きじゃない。

夢がないわけじゃなく
(いい歳をして、サンタとドラえもんは本当にいるかもと思っている。爆)
もう少し、等身大のリアル
子どもの本にも必要だと思ったりしてた。
動物を擬人化したりするのは
おげーだけどね(笑)

この本は
本当に、ささやかな幸福を描いているところが好きだ。

せっかく、憧れのサンタになったのに
マーガレットはちょっぴりかなしくなったりする。
なぜかっていうと
ルディに渡された袋に入っていたのは
マーガレットが想像してたような、すごい贈り物じゃなくて
彼女が普段、集めてみんなに贈っていたような
葉っぱや、どんぐりや、ありふれた花
なんていう、ちょっとみすぼらしいプレゼントだったから。

でも、それを
いろんな理由で、
リスや鳥やミツバチたちは
とてもとても、よろこんでくれるのだ。
本当に心から。

マーガレットは、ちゃんと人をしあわせにできる女の子なのだ。

きっと、大人が読むと
いろんなことを感じる本だと思う。

誰もがサンタクロースになりたい
きっと思っている。
マーガレットと同じように
もう少し、自分に力があれば
まわりの人や大切な人をしあわせにできると。

お金や、家柄や学歴や、世渡りの術やコネ、才能や技術、
美貌、健康、時間、そして運・・・
全部に恵まれた人なんかなかなかいない。

多くの人は、あとほんの少し、何かがあれば

もっともっと、自分はしあわせになれるのに
誰かをしあわせにしてあげられるのに
って
思ってしまうだろう。

でも、普段過ごしている特別でない日常の中にも
ちゃんと、あなたの努力や好意を
受け止めてくれている人がきっといる。


そんな、あたたかい思いがこもった本。

そして、が・・・
ほんとに素晴らしい。


黒を基調にした表紙に
白い背景のページ。
そこに、ほんわかと淡い色彩がのせられる。

赤や緑に金
という華やかなクリスマスのイメージでもなく
キリスト生誕の聖夜を主題にした作品に多い、
夜の青に、白や黄色の星というイメージでもなく

ただただ、静謐でやさしい絵

それでも、物語とともに、極上のクリスマス絵本だ。

この絵本の刊行にあわせ
各地の大型書店などで原画展パネル展が開かれたので
植田真さんの絵を目にした方もいらっしゃるかな?
あたしも、お気に入りになった。
絵本や文芸書の装画を担当されることが多くて
文章と絵の両方を書かれたのは
スケッチブック」に続いて
この「マーガレットとクリスマスのおくりもの」が
まだ2冊目だけど
これからも、もっとこの人の手がけた絵本を
読みたいと思った。

物語の最後で
サンタの任務(笑)を終えたマーガレットは
クリスマス当日の朝に
自分自身もプレゼントをもらう。
このプレゼントを
よろこぶのか、がっかりするのかは
たぶん、読む人次第。
あたしは、笑顔になりました。


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「マーガレットとクリスマスのおくりもの」植田真(あかね書房)

テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌

初めて入った理容店。
女主人のおしゃべりと心地好いマッサージににウトウトしているうちに、
髪形はすごいことに・・・

金髪!
しましま頭!
丸坊主!


おーまいがあー!!Σ( ̄ロ ̄lll)

本人も周囲も戸惑うなか、そのせいで、いつしか性格まで変わっていき、
とんでもない出来事が…。
髪形の変化が巻き起こす、愉快、痛快、爽快な「事件」を描く連作短編集。

収録されている6編の主人公は、
本当に、どこにでもいそうな人たちだ。

気弱で上司にも後輩にも思ったことが言えず、
いつも人の顔色を伺って、遠慮ばかりしている庶務係の女性。

記憶喪失の男(実は・・・)。

定年退職して何もすることがないおじいさん。

「すみません」が口癖の頼りないサラリーマン。

就職浪人したが行きたい会社がみつからない女の子。

空き巣に入られた上にリストラされそうな、とほほなOL。

会社や家庭で言いたいことも言えず、
不満をためていた人たちが、
髪形が変わるだけで
面白いように性格まで変わってしまう。
言えなかったことを口に出し
できなかったことをやってみようと思う。
ささやかな変化だが
その人の人生にとっては大きな転換点となる出来事。
そんな「事件」を
あたたかい視点で描いた作品集だ。

髪型を変えるだけで、
人生そのものが変わることは現実にはありえないかもしれないが
リアリティのあるエピソードの積み重ねと
本当に身近にいそうな、そしてある意味自分を見ているような
人物造形と心理描写で
このファンタジーめいた物語を
明日、起こっても不思議じゃないこと」のように
現実感を持って読ませる作者の力量は
半端ではない。

あたしは、すでに
「髪型を変えるだけで人生は変わらないが
何かのきっかけには十分なりうる。」

と信じて始めている。(笑)

理不尽な世の中で
多くの我慢を強いられている人間には
普段、あまり意識はしないけど
「こういうふうにできたらいいなあ」
と思ってることがきっとある。
今日はなんとか持ちそうだからと
ラップをかけて心の冷蔵庫にしまっておく不満。
本当はやりたいのに、
仕事、家事、育児で、後回しにしてしまう願い。

人に嫌われたくなくて
波風を立てたくなくて
職や地位を失いたくなくて
目立ちたくなくて
怖くて
怠惰で
もしくは、自分の願いにさえ気づかないほど疲れていて

いろんな理由で、封じ込まれた願望。

この物語の主人公たちは
「きちんと自己主張する(嫌なことは嫌だと言う)」
「理不尽な目にあったら反撃する」
「犯罪から積極的に自分を守る」
「自分に自信をもつ」
「不正に目をつぶらない」
「自分が本当にやりたいことをみつける」

という自分の願いに
髪型が変わるという、ささやかなきっかけで向き合うことができたのだ。

思っていたことを実行に移し
言いたいことを言い放つ彼らの姿は、
水戸黄門の印籠」的に、

すこーーーーんと突き抜けたカタルシスを与えてくれる。

いや、ご老公がなんだかんだいっても
個人の力量ではなく
「権力」を支えにしていることを考えると
むしろ「ロッキー」的と言ったほうがいいのか(笑)

「エイドリアーーーーーンっ!!」

みんなの心の奥底の願望を
見抜いたかのように
その人に合った髪型を
勝手に、ざくざく作ってしまう(笑)魔法使いのような女理容師が
結局、どういう人なのか謎のままなのも
なんとなく、あたしは好きだぞ(笑)

さて。
ただひとつ、悩んだのがタイトル。
「わらの人」
「わらの人」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんで「わらの人っ」???

溺れる者はわらをも掴む」?
謎の女理容師さんが
彼らにとって、そういう存在だったってこと?
うーん。
でも、微妙に違うような・・・
知らずに掴んじゃったわけだしな(爆)

と書いたところで
なんか・・・
わかったような・・・

もしかして
サム・ペキンパー監督
ダスティン・ホフマン主演

あれかもっ???

「わらの犬」!!

物騒な都会生活から逃れるため、
妻と共に田舎に引っ越した数学者が
村の若者たちから理不尽とも言える卑劣な嫌がらせを受け
何をされても無抵抗だった平和主義者の彼が
ある日、あまりの仕打ちにぷっつりキレて
大爆発という・・・

確かに、第一話「眉の巻」の沙紀ちゃんの
反撃に通じる空気があるような気がする。
(あ、あの映画と違って
あくまでも後味はいいからね。笑)

もともと「わらの犬」は
老子の言葉から来ていて
「とるにたらないもの」というような意味もあり
この「わらの犬」ならぬ「わらの人」には

「日常ウォーズ~普通の人々の逆襲的な

意味がこめられてるのかもしれない。

waranohito.jpg

「わらの人」山本甲士(文藝春秋)

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

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古本ぺんぎん堂店主
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ぺんぺんの90%は本でできています
残りは音楽と映画と酒と美味しいものでできているようです

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暇だったら一日一ぽちっ(笑)
読んで少しでも参考になったという方がいらしたら、励みになりますので、これまた、愛のぽちっ、をお願いします


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